屋外看板定番の美装 Aサイン
固定面板ならではの
面板シート貼り込み方法のご紹介
| 渡辺 浩平
面板がフレームに固定されている美装製Aサイン。面板が外れない看板でもキレイに貼り込み、看板を仕上げる。
美装製Aサインは面板が取り外しできないため、看板本体に固定された面板に直接貼り込みを行います。面板が外れないため慎重に作業を行う必要がありますが、お客様にとっては一体型の丈夫でガタツキの無い使い勝手の良い看板として屋外で長い期間ご利用いただけます。職人技が際立つA型看板製作の現場から板面の施工方法をお届けいたします。
STEP1
ご注文いただいたデザインデータを、Illustratorの画面上で最終チェックします。
サインモールのファクトリーでは、印刷機を動かす前に、お客様からいただいたデザインデータをIllustrator(イラストレーター)の画面上で必ず厳密にチェックします。今回は、明るい黄色と優しいイラストが目を引く「サインモールデザイン集」からデザインNo.280「親しみやすさを大切にした司法書士・行政書士事務所店頭看板デザイン例」のデザインです。看板の実際の寸法(W600×H900mm)に対して、印刷のフチが白く切れてしまわないよう天地左右に「塗り足し(3mm)」が正しく作られているか、文字のフォントが崩れないようアウトライン化されているかなど、専用のフォーマットに当てはめて確認します。パソコンの画面上のデータが、この後リアルな看板へと変わっていく、ものづくりの真剣な第一歩です。
STEP2
高発色な大型溶剤プリンターで、鮮やかな黄色の看板シートを印刷します。
データチェックをクリアしたら、サインモール自慢の大型インクジェットプリンターで看板用シートに印刷を行います。エプソン製の溶剤プリンターが心地よい駆動音を上げ、白いシートの上に鮮やかな黄色インクがじわじわと乗っていく様子は、何度見てもワクワクする瞬間です。今回は遠くからでもパッと目を引く美しい発色が求められるデザインのため、10色のインクを細かく掛け合わせて、データ通りのみずみずしい黄色とくっきりとした文字を表現していきます。この溶剤10色機による看板用シートの印刷は、看板印刷・大判出力として単体でもご注文いただけます。
STEP3
印刷したシートの上に、屋外の雨風や紫外線に強いUVカットラミネートをかけます。
印刷が刷り上がったら、インクを保護するためのラミネート加工を施します。お店の外に置かれるA型看板は、強い西日や激しい雨風に毎日さらされるため、この加工が看板の寿命を大きく左右します。大型のラミネーターを使い、印刷面の表面にUVカット機能がついた透明なフィルムを、空気が入らないように均一な圧力で圧着していきます。これにより、何年経っても色あせにくく、うっかり擦っても傷がつかないタフなシートが完成します。
STEP4
トンボ(トリムマーク)を基準に、看板へ位置ズレなく貼るための「印」をシート上に正確に書き込みます。
一見するとシートを裁断しているように見えますが、実はこれ、看板に位置ズレなく真っ直ぐ貼るための最も重要な「印付け(マーキング)」の作業です。作業台の上にシートを広げ、印刷されたトンボ(トリムマーク)を基準にしながら、1メートルの大きな金定規とペンを使って、貼り込む位置の正確な基準線をシート上に書き込んでいきます。
お客様が製作されたデザインを看板上でも正確に再現するために、この職人が書き込んだ印を頼りに位置を合わせることで、ズレや傾きのない看板へと貼り込むことができるのです。このようなお客様には見えない段取りにこそ、サインモールのものづくりのこだわりが詰まっています。
STEP5
新品のA型看板を傷つけないよう、慎重に箱から開梱します。
シートの準備が整ったら、いよいよ看板本体の登場です。メーカーから届いた新品のAサイン(A-609)の段ボールをハサミで丁寧に開封し、フレームを取り出します。アルミフレームの角や、はめ殺しになっている面板に万が一にも傷をつけないよう、作業台の上には常に気を配りながら、優しく、かつ慎重に扱いを始めていきます。
STEP6
面板の青い保護フィルムを剥がし、専用の帯電防止クリーナーで表示面を丁寧に拭き上げます。
箱から取り出した看板には、面板(アルミ複合板)を保護するための青いフィルムが貼られています。これをペリペリと剥がすと真っ白な面板が現れますが、保護フィルムを剥がした直後の面板は強烈な静電気を帯びており、そのままでは空気中の細かなホコリを磁石のように吸い寄せてしまいます。
そこでシートを貼る直前に、プラスチックや合成樹脂のコーティング表面に対応した「専用の帯電防止クリーナー」を使い、表示面を丁寧に拭き上げていきます。クリーナーに含まれるアルコール成分が、製造時についた目に見えない油分や手垢をしっかり落として面板を「脱脂」すると同時に、優れた静電気防止効果によってホコリの付着を完全にシャットアウトします。シート裏面の接着力を100%発揮させ、数年後の剥がれを防ぐための、地味ですが絶対に妥協できない「ちゃんとした」下地作りです。
STEP7
おもしを載せて、シートの「位置合わせ」を厳密に行います。
ここが、はめ殺し看板の貼り込みにおいて最も緊張する「位置合わせ」のプロセスです。フレームから面板が外れないため、作業台の上に看板ごと寝かせ、その上にシートを載せます。上下左右のフチの空き具合が均等か、コンマ数ミリのズレや傾きがないかを何度も目視で測り、位置がビシッと決まったら、サインモール特製のマカロンのような「青くて重い丸ウェイト(おもし)」をそっと載せて固定します。このおもしがシートをガッチリホールドしてくれるおかげで、一発勝負の貼り込みでも絶対にズレません。
STEP8
シートの端を固定し、スキージーを使って気泡が入らないように貼っていきます。
位置が固定されたら、いよいよシートの貼り込み(本番)です。シートの裏紙を少しずつ剥がしながら、フェルトがついた専用のヘラ(スキージー)を使い、面板に対して一定の角度と力加減で滑らせていきます。中央から外側へ向かってリズミカルに空気を押し出していくこの作業は、まさに職人技。はめ殺しフレームのフチギリギリまで、1ミリのヨレも気泡も残さずに、吸い付くようにピタッと密着させていきます。
STEP9
看板のアルミフレームのフチに沿って、余分なシートを綺麗にカットします。
シート全体を貼り終えたら、フレームの金属フチからはみ出している余分なシートを切り落とすトリミング作業です。カッターナイフの刃先をアルミフレームの内側の溝にピタッとあてがい、手元を安定させながらスーッと滑らせていきます。特に、コーナー箇所は、カッターの入り始めでもあるので刃先をコンマ数ミリ単位でコントロールする繊細さが求められる職人技。はみ出しをゼロにすることで、雨水が隙間から侵入して剥がれるリスクを完全にシャットアウトします。
STEP10
作業中についた手垢などを落とすため、もう一度表示面を丁寧に拭き上げます。
すべてのカットが終わったら、仕上げの最終清掃です。貼り込みやカットの最中に、職人の手がどうしてもシートに触れるため、目に見えない手垢やわずかな汚れが付着しています。これをもう一度、きれいなウエスとクリーナーを使って、優しく丁寧に拭き上げていきます。自分たちが手がけた仕事のクオリティをしっかり確認すると同時に、お客様の元へ送り出すための、心を込めた最後のクリーンアップです。
フチのカットと清掃まで完了すると、作業台の上には貼り込みに使用した道具一式ときれいに仕上がった面板が並びます(1枚目)。看板を一度立ち上げて全体の仕上がりを最終確認し、歪みや気泡がないことをチェックして表示面の製作工程はすべて完了となります(2枚目)。手垢や汚れのないクリーンな状態を保ったまま、お客様の元へ配送事故なくお届けできるよう、次はいよいよ最後の梱包ステップへと進みます。
STEP11
お客様の元へ配送事故なくお届けできるよう、プチプチで大切に梱包します。
ピカピカに仕上がったA型看板を、専用の大きな気泡緩衝材(プチプチ)で包み込みます。この美装Aサインは、アルミの脚や金属のヒンジ(金具)が露出しているため、配送中にフレーム同士が擦れて傷がつかないよう、全体を優しく、かつ強固にガードします。運送会社さんのトラックの中で、他のお荷物と揺られても絶対に面板に傷がいかないよう、全体をカチッと密閉してパッケージを完成させます。
とっておきの一台、美装Aサインが完成しました。
ついに、司法書士・行政書士事務所向けのA型看板が完成しました!
スタジオでピシッと立ち上がったその佇まいは、どこから見ても歪みがなく、発色も鮮やかで、まさにこれからの新しい街の「お店の顔」にふさわしい立派な出来に仕上がりました。
私たちはいつも、「看板が実際の街頭に立ち、新しく訪れる人々をお出迎えする場面」をイメージしながら手を動かしています。フレームから面板が外れない「はめ殺し」だからこそ、製造時の手の掛け方ひとつで仕上がりに違いが出ます。看板作りが好きだからこそ、モノづくりの現場の空気までお届けしたいという私たちのクラフトマンシップが、全ての看板に詰まっています。お店の前に立つスタンド看板は、こうした一つひとつの手仕事から生まれています。